日本化学会誌(化学と工業化学)
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長鎖脂肪酸単分子膜のA-T等圧線測定と一次相転移
加藤 貞二秋山 秀行
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1992 年 1992 巻 3 号 p. 261-266

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抄録

ペルチエ素子を利用し,マイクロコンピューターで温度制御をするLangmuir水槽を開発し,ミリスチン酸からアラキジン酸までの一連の長鎖脂肪酸単分子膜のA-T等圧線を測定した。どの物質の単分子膜も液体凝縮状態から液体膨脹状態への一次の相転移を示した。転移温度はアルキル鎖の炭素数が1増すごとに約10℃ 上昇したが,炭素数が増すにしたがって小さくなる傾向があった。この転移温度上昇にはアルキル鎖の炭素数の偶奇による異常性,いわゆる偶奇性は現れずfなめらかな上昇であった。表面圧が10mN/m増すごとにも転移温度は約8℃ 上昇したが,これもアルキル鎖の炭素数増加とともに小さくなる傾向を示した。液体凝縮状態の単分子膜の表面膨張率は,転移温度の低いミリスチン酸がとびぬけて大きな値になったが,ペンタデカン酸以上では少しずつ小さくなり,10mN/mのアラキジン酸で8.2×10-4K-1という値であった。

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