日本化学会誌(化学と工業化学)
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担持RhおよびPd触媒における触媒活性にSMSIの効果-種々触媒反応の比較-
前田 啓国森 公夫内島 俊雄
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1992 年 1992 巻 3 号 p. 267-274

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抄録

RhならびにPd担持金属触媒を中心に,種々の触媒反応におけるSMSIの効果を定量的に比較検討した。
構造敏感反応であるエタンおよびシクロヘキサンの水素化分解反芯の活性は,高温還元処理(HTR)後に約5~6桁の低下を示しx構造鈍感なシク導ヘキサン脱水素反応では,その低下は約1桁程度であった。この結果は,SMSI(Strongmetal-supPortinteraction:担体還元種の金属表面被覆)による幾何学的阻害効果が構造敏感反応で大きいとする一般的な解釈で理解できる。一方,アソモニア分解反応では,HTR後に0.6桁程度の低下を示しiまたCO水素化ならびにブチルァルデヒドおよびアセトンの水素化反応では,HTR後の活性の低下は1~2桁とあまり顕著ではない。ここではy幾何学的阻害効果のほかにリガンド効果による促進効果を考慮する必要があろう。
Pd触媒によるエチレンのヒドロホルミル化反応は特異的で,HTR後に活性の明らかな上昇が観測された。活性増大の要因は,Pd上の担体還元種とそれに隣接するCO吸着種との相互作用によると考えられ,担体還元種による幾何学的な阻害効果を上回る電子的(リガンド)効果の結果,全体として活性の増大をもたらしたものと考えられる。

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