1992 年 1992 巻 3 号 p. 322-328
二成分系混合溶媒(エタノールーベンゼン,エタノールージオキサン,DMF-メタノール)中で塩化ベソジル(BC)またはクロロメチル化ポリスチレン(CMPS)と3-ブチルアミンの反応を行い0反応におよぼすアルコールの効果を検討した。ただし,CMPSはアルコールのモル分率の低い領域(0.3~0.5まで)でしか溶けなかったので,反応の全解析はBCについてKondo-Tokuraの二成分系混合溶媒中の反応理論を援用して行った。エタノールーベソゼン系とエタノールージオキサン系ではlogkM(kM:反応速度定数)とΔEM(活性化エネルギー)の溶媒組成依存性はエタノールが反応物と遷移状態の両者に特殊溶媒和すると仮定した計算曲線(I型)により精度よく再現出来た。これはエタノールが反応物アミンおよび遷移状態でいちじるしく極性を帯びたC1基の両方へ水素結合することと理解される。また,DMF-メタノール系では反応物にメタノールが,遷移状態にDMFが特殊溶媒和すると仮定した計算曲線(II型)に実測値が一致した。これはメタノールが反応物アミソに水素結合し,一方極性を帯びた遷移状態はDMFと双極子-双極子相互作用することと理解される。CMPSもBCと同様の挙動をする。
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