日本化学会誌(化学と工業化学)
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尿素による接触脱硝反応機構
舘 隆広加藤 明山下 寿生
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1992 年 1992 巻 8 号 p. 812-816

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抄録

アンモニア脱硝反応における還元剤としてのNH3に代わる,常温で固体の還元荊を探索するとともに,最も実用性の高い尿素について反応機構を検討した。尿素((NH2)2CO),シアヌル酸((HNCO)3),メラミン((NH2CN)8),ビウレット(NH2CONHCONH,)を還元剤に選び,これらのMoO3担持Tio,触媒による脱硝性能を,水蒸気,酸素,NOを含む模擬排ガスを用いて検討した。その結果250~450℃ において,いずれの還元剤を用いた場合にもNH3と同等の脱硝性能を得た。実用上有望な尿素について脱硝反応機構の検討を進め,尿素1molに対しNO2molが反応すること,反応には酸素が関与することが明らかとなった。また触媒上での尿素分解反応を調べた結果尿素は共存するH2Oにより加水分解され,NH,とCO,を生じることを確認した。さらにFT-IRにより触媒表面吸着種を分析した結果,気化した尿素に接触させた触媒にはBrφnsted酸点上のNH4+種が認められ,この触媒上にNOを流通させると消失した。以上から,本反応系においては,尿素の加水分解により生成したNH3が触媒上のB酸点に吸着し,これがNOと反応することにより脱硝反応が進行するものと考えられる。

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