日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1一メチルシクロアルキル=(置換フェニル)=スルホキシドの熱分解反応
吉村 敏章関岡 忠康作道 栄一島崎 長一郎長谷川 淳
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 1992 巻 8 号 p. 817-823

詳細
抄録

分子内にシクロアルキル環を持つスルポキシドの熱分解を検討した。1-メチルシクロアルキル=(置換フェニル)8スルポキシドを基質とし,五,六および七員環化合物を比較検討した。その結果,六員環スルポキシドは他とくらべて反応速度,オレフィン異性体の生成に特異な挙動を示した。反応速度は六員環スルポキシドが最も遅く,五,六,七員環の比率はほぼ7:1:36であった。一方,オレフィン異性体の生成比(メチレンシクロアルカン/1-メチルシクロアルケン)は六員環が最大で,五員環,六員環,七員環の比率は約0.02:1:0.07であった。この結果は六員環化合物の遷移状態における立体的な規欄によるものと考えた。六員環化合物の活性化パラメーターとしてEa=120~130kJ・mol-1,ΔS=1.67(エタノール),-1.7(ジオキサン)JK-1・mol-1を得た。置換基効果はρ=+0.865,異性体生成比との間では3~4の範囲であった。生成比に対する溶媒の影響はみられなかった。同位体効果はkH/kD=4.6であり,類縁化合物の値とほぼ似た値を示した。
これらの結果から,基質の脱離機構は近E1型の遷移状態を通ると推定された

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top