日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
ポリ(チオメタクリル酸S一エステル)類とエポキシ化合物との付加反応
佐藤 和也小林 基樹亀山 敦西久保 忠臣
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 1992 巻 8 号 p. 834-839

詳細
抄録

側鎖にチオエステル結合を有するポリマーを合成し,これとエポキシ化合物との高分子反応を第四級オニウム塩または無機塩の触媒を用いて行った。その結果r触媒として第四級オニウム塩を用いた反応では,付加反応ユニット,未反応ユニヅト,加水分解ユニットからなるポリマーが生成した。またポリマーの反応性は,側鎖に8-フェニル8チォエステル結合を有するポリマーであるポリ(S-フェニル=チオメタクリレート)の反応性は他のポリ(チオメタクリル酸S-エステル)類や鮒応するポリ(フェニル=メタクリレート)より高かった。一方,フッ化セシウムを触媒として用いた高分子反応は温和な条件下でよく進行し,加水分解ユニットを含まないポリマーが生成した。また,この系にクラウンエ-ルテを添加すると,反応率は著しく向上した。これらの結果から,フッ化セシウムークラウンエーテル錯体はS-チオエステル結合を側鎖に有するポリマーとエポキシ化合物との付加反応に優れた触媒であることが明らかとなった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top