1993 年 1993 巻 10 号 p. 1148-1151
メタクラウノファン(2)および(3)を,アセトニトリル中でのスチレン誘導体の分子内[2+2]光環化付加反応により,簡便に合成した。1H-NMR.スペクトルの結果は,アルカリ金属塩存在下において,メタクラウノファン(3)が優先的にsyn形配座をとることを示唆した(表1)。メタクラウノファン(2)あるいは(3)とドデカン酸の混合物を,クロロホルム液膜系におけるアルカリ金属イオン輸送用担体として使用した際,(3)は芳香環のパラ位にメトキシル基を持つ(2)に比べ高い効率を示し,特にLi+イオンに対して顕著であった(表2)。この事実は,クラウノファン(3)の場合,syn-およびanti-形の配座変化が円滑に行われていることを示している。
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