タイプの異なる合成ゼオライトを触媒として,それぞれ3種類のモノおよびセスキテルペン炭化水素類とC
1~C
4の直鎖アルコールとの付加反応を行った。その結果,サビネン(1)とメタノールとの反応では,Clinoptilolite型である1010AHおよびHS-USY型であるHSZ-360HUA合成ゼオライトを触媒とする条件において,4-メトキシ4-
p-メンテン(9)を75%の生成比で得ることができた。つぎに,イソリモネン(2)とメタノールとの反応では,HSZ-360HUA合成ゼオライトを用いた条件において,4-メトキシ-2-
p-メンテン(12)が92%の生成比で得ることができた。さらに,γ-テルピネン(3)とそれぞれのアルコールとの付加反応については,HS-Y型あるいはHS-USY型合成ゼオライトを用いた条件では1-アルコキシ-3-
p-メンテン(16)~(18)を選択率良く得ることができた。一方,フムレン(4)とメタノールとの反応では,Mordenite型であるHSZ-640HOA合成ゼオライトを用いて,8-メトキシ-1,4,4,8-テトラメチル-1,5-シクロウンデカジエン(19)を93.6%の生成比で得ることができた。つぎに,β-カリオフィレン(5)とメタノールおよびエタノールとの反応では,いずれもMordenite型に属するHSZ-620HOA合成ゼオライトを用いて,1-メトキシ-4,4,8-トリメチルトリシクロ[6.3.1.0
2・5]ドデカン(22),1-プロポキシ-4,4,8-トリメチルトリシクロ[6.3.1.0
2.5]ドデカン(24)を73%~83.9%の生成比で得ることができた。導ンギシクレン(6)の反応ではHSUSY型であるHSZ-360HUA合成ゼオライトを用いた条件では,異性化生成物であるイソロンギホレン(26)とロンギホレン(27)の生成を確認するとともに,C
11位に選択的に付加反応が生起した11-アルコキシ-1,2,6,6-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0
2.8]ウンデカン(28)~(30)および8-アルコキシ-3,3,7,9-テトラメチルトリシクロ[5.4.1.0
2.9]ウンデカン(31)~(33)を得ることができた。得られたそれぞれのテルペエルエーテル類の匂い評価を実施したところ,(1)から誘導した(9)および(5)から誘導した(22)がとくに香料基材として有用であるとの評価を得た。
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