日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
NaOH-KOH融液中におけるバストネサイトの分解・酸化機構
加藤 和裕尾崎 義則飯島 敏夫奥脇 昭嗣岡部 泰二郎
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1993 年 1993 巻 5 号 p. 580-585

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抄録

バストネサイト(LnCO3F:Ln;Ce,La,Nd,…)粉末を大気圧下,溶融アルカリ中で酸化して直接セリウム濃縮物を調製する過程の主反応の機構について研究した。NaOH-KOH(42-55wt%)融液中,温度,かきまぜ速度,雰囲気,バストネサイト/融液比などの反応条件を変えて実験した。バストネサイトはNaOH-KOH融液中できわめて速かに希土類金属の固溶したCe(OH)3に分解し,この際CO32-およびF-イオンは融液中に固定される。生成した水酸化物は空気中の酸素によりLa,Pr,Ndなどの固溶したCeO2に容易に酸化される。この酸化反応は,温度の影響が小さいこと,かきまぜが著しくCe酸化速度を大きくすることなどから融液への酸素の溶解が律速過程と考えられる。しかし,薄い酸化生成物層における酸化化学種の拡散の影響も認められる。

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