日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
セラミックスのグリーン強度に及ぼす結合剤としての共重合変性ポリビニルアルコールの作用効果
田中 卓丸山 均梶谷 浩一岡谷 卓司
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 1994 巻 4 号 p. 381-386

詳細
抄録
アルミナ粉体のプレス成形に及ぼす結合剤としてのポリビニルアルコール(PVA)の影響を,プレス成形物の曲げ強度,曲げ弾性率および密度から検討した.成形時の,穎粒中の水分率が高いほど曲げ強度などは高かった.このことはPVAのガラス転移温度(Tg)が吸水により成形温度よりも低くなることが重要であることを示している.PVAは成形時には水により十分に可塑化されることが必要であるが,成形後は水などの可塑剤は存在しない方が強度は高かった.
次に各種共重合変性PVAの影響を調べた.炭素数10のカルボン酸のビニルエステルとイタコン酸を共重合したPVAで顕著な成形物のグリーン強度の増加,および密度の上昇が認められたので,これらの変性度の影響をやや詳細に調べた.最適組成では通常のPVAの系に比べて成形物の曲げ強度で3倍,タフネスで4倍大きかった.パラフィン鎖による滑剤効果によって穎粒の変形および緻密化が起こりやすくなることがその理由であろうと推定した.
著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top