日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
ゲノムプロフイリング-その方法論の確立と実践的評価-
浜野 圭一高沢 努倉園 貴至奥山 雄介西垣 功一
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1996 年 1996 巻 1 号 p. 54-61

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抄録
広範な生物・細胞の遺伝子型による分類同定法として有用なゲノムブロフィリング法が確立された。この技術は,細胞から簡略なアルカリ抽出法によってゲノム DNA を調製する過程,その DNA を鋳型としたランダム PCR によって特異的に複数の DNA 断片を増幅する過程,およびそれらの DNA 断片群を温度勾配ゲル電気泳動法(TGGE)によって分離展開し解析する過程とからなる,ゲノムプロフィリソグは多情報であり,その情報は用いる鋳型 DNA とプラィマーとの“関数”と見なしうることが理論的に示され,実験的にも支持された。すなわち,調べたすべてのゲノム DNA(19生物種)に対して,常にそれ固有のプロフィルが与えられた。分類学的に種間以上の隔たりがあれば,同じ操作で得られたゲノムプロフィリングは,たまたま 1-2のバソドで類似が見られる場合もあるが,全体的には類似性が低く個別特性的であった.同一種内異株間では全体的類似性は高いが相互に識別可能な特性があることが確認された。また,プライマーを換えれば同じゲノム DNA から異なるプロフィールが得られることが実証され,分類同定の幅を広げることが示された。
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