日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
水溶性力リックスアレーン金属錯体の合成と性質
西田 正志吉田 烈石井 大道新海 征治
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1996 年 1996 巻 5 号 p. 449-456

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抄録

ヒドロキシカリックス[n]アレーンのヒドロキシル基のパラ位置にスルホソ酸基を導入して,水溶性を付与したヒドロキシカリックス[n]アレーン-p-スルホソ酸ナトリウム(n=4,6,8,以下 Nan.1nと略記する)は,弱酸性水溶液中で金属イオソに対する配位子として作用し,希土類金属イオン(Ln3+)などと反応して水に難溶性の金属錯化合物を生成した。単離した金属錯化合物の元素分析結果,赤外吸収スペクトル,錯化合物の生成量に対する金属イオンと配位子の混合比,水素イオンおよび共存陰イオン濃度の効果などを検討することにより,これらは主として NaLnl4・mH2O(m=7-15), Ln2l6・mH20(m=17-40) および Ln2H2l8・mH2O(m=14-35) の組成を有する。塩としての性質が強いスルホナト型のキレート化合物であると結論した。これらの配位子は,アルカリ土類金属イオン(M2+)とも同種の難溶性化合物, M2l4・nH2O(m=5-10), M3l6・mH2O(m=5-22) M4l8・mH2O(m=6-20) を生成した。また,ジルコニウム(IV),ハフニウム(IV)およびトリウム(IV)イオンともより難溶性の高い金属錯化合物を生成した。これらの化合物についても同様の方法により検討を加え,これらは配位子上縁部のスルホン酸基だけではなく,下縁部のヒドロキシル基も金属イオソとの結合に関与した錯体であると結論した。

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