日本化学会誌(化学と工業化学)
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光架橋性高分子固定化酵素膜センサーを用いる高速液体クロマトグラフィーによる乳酸,グルタミン酸,グルコースの同時定量
村上 和雄掛本 道子小川 裕康
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1996 年 1996 巻 5 号 p. 457-461

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抄録

光架橋性高分子の PVA-SbQ を用い,酵素活性を失わせることなく乳酸オキシダーゼ,グルタミン酸オキシダーゼ,グルコースオキシダーゼを固定化した固定化酵素膜を作製した。この膜で電気化学検出器の作用電極を被覆してバイオセンサーをつくり, HPLC の分離カラムの後に接続した。これら 3 種の酵素は,いずれも乳酸,グルタミン酸,グルコースの酸化反応に触媒作用を示し,過酸化水素を生じさせる。この過酸化水素を電気化学検出器でアンペロメトリックに測定した。本法の検出感度は,示差屈折率検出器より約 100 倍感度が高かった。最小検出量は約 70ng(S/N比=3)であった。酵素の分子識別機能と電気化学検出器という選択性を利用するため前処理は簡略化でき,試料は希釈するだけでよかった。市販の乳酸飲料,日本酒,ワイン,サラダドレッシソグ中の乳酸,グルタミン酸,グルコースの定量に応用し良好な結果が得られた。

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