日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
配向制御ペリレンテトラカルボン酸ジイミド薄膜の作製と光電変換特性
上田 裕清倪 静捧戸田 泰弘張 貴博柳 久雄
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 1996 巻 5 号 p. 491-499

詳細
抄録

N,N'-ジメチルペリレン-3,4:9,10-テトラカルボン酸ジイミド(Me-PTC)をインジウム-スズ酸化物(ITO)ガラス,ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)コーティングガラスおよびKBr(001)へき開面上に真空蒸着した。ITOガラス上の膜は無配向多結晶膜から形成されていた。一方,PTFEコーティングガラスおよびKBr上に蒸着した膜は配向膜から形成され,100℃ あるいは150℃ に保った基板上で次の関係で配向成長した :[010](001)Me-PTC//[001](100)PTFE-150℃, [010](001)Me-PTC//[110](001)KBr-100℃, (102)Me-PTC//(001)KBr-150℃ および [010]Me-PTC//[110]PTFE-150℃=±15°. ITO上の膜はそのまま,また,PTFEコーティングガラスおよびKBr上の膜は基板からはく離したのちITOガラス上にすくいとって薄膜電極とし,湿式電池(ITO/Me-PTC/0.5mMI2, 0.1M KI/Pt)を作製した。Me-PTCの導電型は溶液中のI2のドーピングによりn型からp型に変化した。配向膜を用いた電池の性能パラメーターは,無配向膜を用いた電池の値と比較して約3倍向上した。Me-PTC薄膜を用いた太陽電池の性能向上には膜中の分子配列制御とともに粒子径の制御が重要であることがわかった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top