1997 年 1997 巻 12 号 p. 862-868
層電荷の異なるLi+交換型テニオライト系膨潤性合成フッ素雲母[LixMg33-xLixSi4O10F2(x=O.5,0.8)]とOH/Cr比の異なる各種多核ヒドロキソクロム(III)水溶液を室温から95℃ の各所定温度で反応させ,クロミア架橋フッ素雲母の生成と性質に及ぼす挿入反応温度と層電荷の影響を検討した.その結果,OH/Cr=2.0の溶液を用いて層間挿入反応を80℃ 以上で行うと,室温で挿入反応を行う場合よりもかさ高いクロム(III)イオン種を多量に雲母層問域に挿入できることがわかった.特に,層電荷が大きなホスト結晶からも,従来調製することができなかった多量のクロム収容量[2.01mol・(Si4O10)-1]をもつクロミア架橋体が得られた.95℃ での挿入反応により得られる層電荷0.8のクロミア架橋フッ素雲母の底面間隔値は,室温挿入反応で得られる架橋体に比べ0.1nm程度増大し,高温域(400-700℃)まで1.1-1.4nmの底面間隔値を維持した.また,95℃ で挿入反応させると,室温挿入反応の場合よりも200-300℃ の加熱温度範囲では最大100m2g-1程度大きな比表面積をもつクロミア架橋体が得られた.
この記事は最新の被引用情報を取得できません。