1999 年 1999 巻 11 号 p. 715-722
貴金属(Pt,Rh,Pd,Ru)を担持したZSM-5によりチオフェンの水素化脱硫反応(HDS反応)を行ったところ,Pt/HZSM-5が最も高いHDS活性を示した。Pt/HZSM-5ではブタンが主生成物であったのに対し,Rh/HZSM-5,Pd1HZSM-5,Ru/HzSM-5では芳香族生成物の選択性が高かった。芳香族化などの逐次反応の起こる触媒でHDS活性の低下が著しいことから,逐次反応の生成物が炭素析出の原因であると考えられた。
赤外吸収スペクトルとアンモニアの昇温脱離スペクトルより,担体であるHZSM-5の酸量が同じであることが明らかとなった。X線回折の結果,Ptの分散度はRhやPdより低く,HDS活性は硫化水素存在下での担持貴金属の水素活性化能に依存すると考えられた。
2種のPt/HZSM-5を用いたところ,HDS活性はPtの分散度に依存し,ゼオライトの酸性がPtの分散度に影響を与えていることが示唆された。
以上の結果より,分散度向上のために酸量の多いゼオライトを担体とし,耐硫黄性に優れているPtを用いることにより,HDS反応に高活性な触媒が調製できることが明らかとなった。
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