日本化学会誌(化学と工業化学)
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試料液のイオン強度調整を要しない標準液添加法とキレ-ト置換反応を利用した金属イオンの間接電位差定量
石川 徳久野村 哲也李 明杰松下 寛
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1999 年 1999 巻 11 号 p. 723-731

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抄録

試料液のイオン強度調整を必要としない標準液添加法とキレート置換反応を利用した金属イオンの間接電位差定量法を提示する.
Nイオン選択性電極.比較電極対を浸漬した測定金属イオンMを含む体積Vの試料液を,濃度Coの金属キレートNL液(滴定液1)で滴定する(Nは金属イオン,Lはキレート配位子).このとき,置換反応によってNが放出される.滴定液1の添加体積(νf)に対する起電力(E1)を測定したのち(滴定液1の最終添加体積をνf0とする),一定体積V0の試料液を添加する.引き続いて濃度C0のNLと濃度CMのMを含み,滴定液1と同じイオン強度をもつ溶液(滴定液2)で滴定し,滴定液2の添加体積(νS)に対する起電力(E2)を測定する.
この二つの滴定曲線から,νS=[1+(V0/V)]νff0を満足するνfSに対応したE1,E2を読み取る.このとき,E1とE2,の溶液中のNの副反応係数がほぼ同じであれば,Mの濃度cxに関して次式が成立する.〓ここで,ΔE=E2-E1,Vνf0'f0/[1+(V0/V)],SはNイオン選択性電極の応答勾配である.10ΔE/S対(νff0')の直線プロットの勾配からCxが決定される.CuII-edtaと銅(II)イオン選択性電極を用い,種々のイオン強度の試料液中の2×10-3-1×10-5mol dm-3の範囲のビスマス(III)イオンを,誤差±1%以下,相対標準偏差0.8%以下で定量した.

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