認知神経科学
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原著(症例報告)
急性中毒症状が明らかでなく初期診断が困難であった間欠型 一酸化炭素中毒の1 例:急性発症性認知症の鑑別診断
山﨑 貴男椎 裕章吉良 潤一
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2013 年 14 巻 3 号 p. 193-198

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抄録

症例は52歳女性。認知症症状にて発症し、後に全身痙攣、両上肢の舞踏運動様不随運動が出現。10日で無言無動となった。血液、髄液検査、頭部CT で異常なく原因不明の脳症として経過観察中、発症20 日後の頭部MRI で両側淡蒼球と白質病変が出現。病歴再聴取にて発症18 日前に一酸化炭素(CO)暴露の機会があり、一緒にいた友人も一過性異常言動を呈したことが判り、急性中毒症状が明らかでない間欠型CO 中毒と診断した。従って、急性発症の認知症症状をみた場合、明らかな急性中毒症状がなくとも間欠型CO 中毒も鑑別に挙げる必要がある。本症例が間欠型CO 中毒を呈した機序としてチトクローム酸化酵素のCOに対する高感受性が推察された。

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