認知神経科学
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シンポジウムⅡ 機能画像と高次脳機能
近赤外線スペクトロスコピーを用いた後だし負けじゃんけん 課題遂行中の前頭前野活動
菊地 千一郎
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2013 年 15 巻 1 号 p. 33-40

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抄録

脳機能イメージングにおいて、被験者の脳活動が低い場合は、被験者本来の脳活動を反映したものか、課題が十分に遂行できなかったかの鑑別が必要となる。そこで、著者らは、本来の脳活動をより正確に把握するための試みとして、被験者の脳活動を最も高くする課題設定を調べた。対象は健常成人で、浜松ホトニクス社製の近赤外線スペクトロスコピー装置を使用した。コンピューターに提示されたじゃんけんの手の写真と勝ち負けの教示をみて、対応する手を提示するという後だしじゃんけん課題を用いた。著者らは2 種類の実験を行った。実験1、難易度研究は、4 種類の検査、勝ち続けるWIN、負け続けるLOS、勝ち負けを交互に行うALT、勝ち負けが任意に教示されるRND を行う。主観的難易度はWIN < LOS < ALT < RND となった。実験2、作業量研究は、刺激課題中の負けじゃんけん作業量をパラメトリックに4 段階に変化させるというものである。課題遂行中の酸化ヘモグロビン波形積分値を脳活動量とみなして比較検討を行った。難易度研究においては右腹外側前頭前野においてWIN < LOS であったものの、難易度の増加にそった脳活動の増加は認められなかった。一方、作業量研究においては左外側前頭前野、両側補足運動野および前運動野に作業量に伴った脳活動の増加が認められた。じゃんけん課題では、ある程度難しい課題を最も高頻度で行うと最も脳活動が高まると考えられた。

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