2015 年 16 巻 3+4 号 p. 209-214
【要旨】ライフスタイルの欧米化が進行する中で、高血圧や高脂血症、糖尿病などの血管老化性疾患が増加している。このような疾患は脳梗塞の危険因子であると同時にアルツハイマー病を中心とした認知症の危険因子でもある。日本社会の超高齢化に伴って脳の虚血性変化を伴ったアルツハイマー病も急増している。高血圧や高脂血症、糖尿病などの血管老化性疾患治療によって、脳血管およびその周囲を重層的に構築しているいわゆるneurovascular unit(NVU)を全体として保護するというneurovascular protection (NVP)という新しいパラダイムに基づいて認知症予防に新しい展望が開かれつつある。