認知神経科学
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シンポジウムI
神経心理学を活かした超音波検査と脳卒中教育体制
濱口 浩敏
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2018 年 20 巻 1 号 p. 18-26

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抄録

【要旨】脳卒中における神経心理学の役割としては、脳卒中急性期に発症し、慢性期にかけて継続する、「突然出現した神経症状」を主体とする考え方と、元々もつ血管病変(狭窄・閉塞)により「緩徐進行性に出現する症状」という考え方が存在する。頸動脈エコーは日常診療のなかで、特に脳卒中領域ではルーチンで検査される項目といえるが、大多数はスクリーニングでの依頼である。その中で、「少し言動がおかしい」、「行動がおかしい」といった内容で検査のオーダーが入るときがある。その際には、詳細に確認していると内頸動脈狭窄や閉塞病変が見つかることがある。頸動脈エコーではプラーク性状、血流情報など様々な情報が得られるとともに、狭窄例における外科的治療(頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術)により、高次機能障害が回復する場合があるため、術前術後の評価に活用したい。また、脳卒中における神経心理学を理解してもらうために、定期的に研修医・看護師を対象とした脳卒中の講義を行うことは重要な意味を持つ。意識障害、高次機能障害の講義を行うことで、普段と違う患者の状態を診たとき、脳卒中を疑い専門医に紹介するかの入口になることが期待できる。

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