認知神経科学
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サマートリートメントプログラムの多面的有効性:ADHD 児とASD 併存ADHD 児へのくるめSTP 治療効果の検討
山下 裕史朗多田 泰裕穴井 千鶴弓削 康太郎家村 明子岡村 尚昌永光 信一郎向笠 章子江上 千代美稲垣 真澄
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2020 年 22 巻 1 号 p. 26-34

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抄録

【要旨】 サマートリートメントプログラム(STP)は、北米で開発されたADHD のある小児と保護者への包括的治療法である。STP は、報酬、レスポンスコスト(ポイントシステム)、タイムアウト、明確な指示・ルール遵守などさまざまなエビデンスのある治療法を組み合わせた治療法である。保護者はSTP 期間中にペアレント・トレーニングに参加し、家庭での対応法を学ぶ。2005 年に福岡県久留米市でSTP をスタートし、14 年間に6~12 歳の学童316 名がSTP に参加した。ドロップアウト例は0 である。STP の効果として行動面の改善だけでなく、脳認知機能、唾液cortisol awakening response の改善、子どものQOL や母親のProfile of Mood States など多面的有効性を認めた。本稿ではSTP の概要とADHD 児とASD併存ADHD 児へのくるめSTP の治療効果について報告した。ADHD 児、ASD 併存ADHD児ともに、決まり順守率、決まりをやぶる、加点、減点の全ての評価項目において決まり・ポイントの改善が認められ、くるめSTP はADHD 児だけでなく、ASD 併存ADHD 児の行動面の改善にも効果があることが明らかになった。

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