2008 年 10 巻 1 号 p. 19-22
【要旨】統合失調症の脳体積研究で、上側頭回と扁桃体を含む内側側頭葉はもっとも体積減少が認められる部位とされる。fMRIを用いて統合失調症におけるこれらの部位の機能異常を検討した。我々は、患者において不快な写真に対する右扁桃体の低活動を報告した。右の扁桃体は、瞬時の自動的な情報処理にかかわっているとされ、外的刺激に対するとっさの処理の障害を示唆すると考えられた。統合失調症の言語に関する研究は広くなされているが、統合失調症にはヒトの声の認知にも障害があるとされ、我々は統合失調症の声の認知時にヒトの声認知に関わる右の上側頭回の低賦活が見出し、言語理解だけでなく、ヒトの声に対する脳内処理の障害が示唆された。