抄録
目的:LDLコレステロールは,一般に,メタボリックシンドローム(MS)の成分とは考えられていないが,MSと関係していると考えられるので,この関係を解析する.
方法:抗高脂血症薬を投与されていない日本人男性2,082人,女性1,217人の人間ドックデータを用いて,LDLコレステロールの4分位数で分類した各群でMSの頻度を比較し,MS診断のためのLDLコレステロールのreceiver operating characteristic(ROC)曲線下面積(AUC)を計算し,最適カットオフ値を求めた.さらに,各危険因子間のSpearman順位相関係数を計算した.平均値は2-sided t-testで,頻度はchi-square testで検定し,p<0.05を有意差とみなした.但し,4群比較ではBonferroniの方法を用いてp<0.008を有意差とみなした.
結果:男女とも,LDLコレステロールの上昇に伴って,MSの頻度が上昇したが,女性の方が男性よりも急峻に上昇した.MS診断のためのLDLコレステロールのAUC(95%信頼区間)は,男性が0.579(0.543-0.615),女性が0.715(0.658-0.772)であった.LDLコレステロールと,収縮期血圧,拡張期血圧,空腹時血糖,中性脂肪,gamma glutamyltransferaseとの間には,男性と比べて女性に有意に強い相関がみられた.LDLコレステロールと血圧との間には,女性では有意な相関が見られたが,男性では有意な相関が見られなかった.
結論:日本人において,LDLコレステロールはMSと密接に関係していた.この関係は,特に,女性に強く見られた.