抄録
目的:動脈硬化所見の存否より中心血圧の基準値を作成し,健診での測定意義と保健指導時の目標値を考える.
方法:健診受診者で上腕血圧が正常(収縮期<130mmHgかつ拡張期<85mmHgかつ未治療)の316例について,トノメトリ法により中心血圧を測定し,胸部X線写真,ECG,眼底,頸動脈,脳MRI・MRAの動脈硬化所見よりROC解析を行い基準値を作成した.また保健指導での目標値も考察した.
結果:ROC曲線の最尤度比点より中心血圧の基準値は125mmHgであった.また収縮期血圧120mmHg以上,拡張期血圧75mmHg以上で高中心血圧例が明らかに増加した.
結論:正常血圧でも高中心血圧例が存在し,その測定は潜在する動脈硬化例を発掘できるものと考える.また保健指導に際しては収縮期血圧120mmHg未満,拡張期血圧75mmHg未満を目標とすることが望ましいと考える.