2011 年 25 巻 5 号 p. 831-836
目的:血清トリグリセリド(TG)の著明高値例に対する特定保健指導の効果を検討した.
対象:2008年4月~2009年10月に実施した特定保健指導受講者のうち,血清TGが著明高値(≧400 mg/dL)を示した男性19例を対象にして保健指導前,指導3ヵ月後の血清脂質,ウエスト周囲径,体重,行動変容スコアを比較検討した.
結果:血清TG,ウエスト周囲径は保健指導によりともに有意な低下を認め(血清TG; 523±112 mg/dL→327±210 mg/dL,ウエスト周囲径; 89.9±2.8 cm→87.5±3.0 cm),両者の変化の間に有意な正相関を認めた.保健指導により食事,運動,飲酒の各生活習慣の行動変容スコアは有意な改善を認めたが,血清TGの改善には食事習慣および飲酒習慣の改善が関与することが明らかになった.
結語:大半の例は保健指導により血清TGの著明な低下を認めた.血清TGの改善のためにはウエスト周囲径の低下および食事習慣・飲酒習慣の改善に重点をおいた指導が重要である.保健指導で血清TGの改善が見られない例のみ受診勧奨とすることが望ましい.