抄録
目的:乳がん検診において超音波(以下,US)画像診断技術の向上により非浸潤性乳管癌(以下,DCIS)の検出率が高くなってきている.石灰化像を呈するDCISはマンモグラフィ(以下,MMG)で検出されているが,石灰化を認めないDCISはMMGでの検出が困難である.今回検診USで検出されたDCISのUS像,および当施設関連病院で精査され,追跡可能であったDCISのUS像について検討したので報告する.
方法:2005年1月から2010年12月までにMMG+US併用検診で発見されたDCISは49例で,そのうち検診USで検出可能であった29例のUS像を検討した.さらに検診US非検出症例のうち,精査の追跡調査が可能であった19例について,精査US超音波像を検討した.
結果:DCISにおける検診US検出症例の65.5%が充実性腫瘤であった.充実性腫瘤を呈する病変は,平均径10.0mmと比較的小さく,形状は分葉もしくは楕円,境界明瞭平滑が多くみられた.非腫瘤性病変として検出されたものは,全例低エコー域であった.検診US非検出例の腫瘤と低エコー域は丹念に観察することで検出可能であった.
結論:DCISの超音波像は腫瘤像が比較的多く,境界明瞭平滑な小腫瘤であった.非腫瘤性病変は低エコー域のみであったが,見落とさないために,参考所見を加味して拾い上げる必要があると思われた.