人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
人間ドック健診施設におけるマンモグラフィ検診での初回と繰り返し受診における発見癌の違い
大塚 博紀大野 香原田 亜里沙菅野 壮太郎藤田 映輝杉山 迪子児玉 ひとみ
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 28 巻 3 号 p. 530-535

詳細
抄録

目的:マンモグラフィ(MMG)検診における初回受診者と繰り返し受診者での乳がんの発見率や性状の違いは,さまざま報告されてきた.今回,当施設における初回受診者と繰り返し受診者での乳がんの発見率や性状の違いを調査検討し,今後の乳がん死亡率減少を目指した,人間ドック健診施設でのMMG検診における受診勧奨(検診啓発)のありかたについて明らかにすることを目的とした.
方法:2010~2011年度に当施設において,MMG検診を受け最終診断がついた5,113名(初回受診者群847名,繰り返し受診者群4,266名)を対象とし,検診記録や診療録を調査した.
結果:初回受診者群のがん発見数は8例,がん発見率0.94%であった.繰り返し受診者群のがん発見数は14例,がん発見率0.33%であった.初回受診者群のほうが,繰り返し受診者群に比し約2.85倍の発見率であった.病期についてはStageⅡが初回受診者群で0.47%,繰り返し受診者群で0.05%であり,初回受診者群にStageⅡを多く認めた.また,浸潤癌は初回受診者群で0.94%,繰り返し受診者群で0.23%であり,初回受診者群に浸潤癌が多い傾向を認めた.
結論:MMG検診における初回受診者群は,繰り返し受診者群に比して,がん発見率が高く,病期がStageⅡで,浸潤癌が多い傾向を認めた.乳がん死亡率減少を目指すという点からは,非浸潤癌・早期癌を発見していくために繰り返し受診者を脱落させないよう受診勧奨(検診啓発)する必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top