人間ドック (Ningen Dock)
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短報
採血に関わるインシデント・アクシデント事例からみる再発防止策
石川 雅彦
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2014 年 28 巻 5 号 p. 768-773

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抄録
目的:人間ドック,健診等で実施される採血の際には さまざまなインシデント・アクシデントが発生する可能性があり,それらの発生防止は,安全で良質な人間ドック・健診業務を実施するために重要である.今回,採血に関連して発生したインシデント・アクシデント事例の発生要因と再発防止策等,および人間ドック・健診等で採血実施の際の留意点について検討した.
方法:日本医療機能評価機構のウェブサイトの公開データ検索を用いて,採血に関連して発生した事例を抽出し,発生概要から発生要因と再発防止に関して検討した.
結果:2012年4月時点で抽出された96例を対象とした.発生の状況は,採血時76例,採血後8例,結果判定・報告時11例,その他1例で,採血時が最も多かった.その内容は,患者・検体の取り違え,末梢神経障害,検査結果報告の誤り・報告の遅延,報告忘れ等で,患者への影響も さまざまなものが認められた.報告されていた対策には,効果的と考えられるシステムレベルの対策案も挙げられていた.
結論:人間ドック・健診等における安全で良質な検査業務の実施のためにも,業務プロセスの特徴を鑑みて,各種マニュアル整備,職員トレーニングの実施と評価,機器設定の点検やメンテナンス等を含めて,施設内で一貫したインシデント・アクシデント発生防止システムを構築する必要がある.
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© 2014 公益社団法人 日本人間ドック学会
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