人間ドック (Ningen Dock)
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原著
肥満関連因子と尿酸値との関係 ~特に内臓脂肪との関連について~
福井 敏樹丸山 美江山内 一裕吉鷹 寿美江宮本 侑深見 孝治
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2014 年 29 巻 1 号 p. 26-33

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抄録
目的:メタボリックシンドロームの減少を目的として,特定健診および特定保健指導が開始されて,すでに5年が経過した.6年目に入った今年度から,新たな改定も加えて第2期が開始されている.高尿酸血症は生活習慣病のひとつであり,尿酸値は肥満をはじめとして,メタボリックシンドロームとも密接な関連があるということは認識されているが,特定健診の検査項目には入っていない.今回我々は尿酸値と肥満関連因子との関係について検討することを研究の目的とした.
方法:対象は当施設人間ドック健診を受診し,CTスキャンによる内臓脂肪面積を測定した909名(男性708名,女性201名,平均年齢は各々48.7歳,45.3歳).尿酸値と肥満関連因子である,BMI,腹囲,内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,内臓脂肪/皮下脂肪面積比との関係について検討した.さらに腎機能の指標であるクレアチニン値と尿酸値の関係についても検討した.
成績:尿酸値の平均値は男性6.1±0.1,女性4.3±0.1mg/dLであった.すべての肥満関連因子が尿酸値と有意な正の相関を示したが,内臓脂肪面積が最も大きな相関係数を示し(r=0.322, p<0.0001),肥満関連因子のなかで男女ともに内臓脂肪面積は尿酸値に対する規定因子となった.また,すべての肥満関連因子において女性の方が尿酸値との相関係数が大きかった.また尿酸値は腎機能の指標であるクレアチニンと有意な正の相関を示し(r=0.489,p<0.0001),尿酸値に対する大きな影響因子がクレアチニン値であり,腎機能と強い関連があることが確認された.
結論:尿酸値は肥満関連因子のなかでも内臓脂肪と強い関わりがあることが確認され,メタボリックシンドロームをターゲットとしている特定健診の検査に取り入れるべき項目であることが示唆された.女性の方が尿酸値と内臓脂肪をはじめとする肥満関連因子との関わりが強いことについては興味ある結果でもあり,今後の検討をさらに要するものと考える.
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© 2014 公益社団法人 日本人間ドック学会
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