人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドックにおける緑内障の調査
村越 好美鈴木 優子澤木 由里香福井 望山口 かやの鈴木 明子前田 教敏
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2014 年 29 巻 1 号 p. 42-46

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抄録

目的:日本緑内障学会の疫学調査で正常眼圧緑内障が指摘されるようになり,緑内障早期発見のための検査が見直されている.今回我々は,当施設で緑内障の検査として実施している眼底検査と眼圧検査の結果を分析し,緑内障検査の現状を調査した.
方法:2010年1月~2012年12月までの3年間で,当施設人間ドックの眼底・眼圧検査を実施した76,245名を対象とした.検査の結果,眼科要受診となり,緑内障と診断された受診者の人間ドック時における眼圧測定値から正常眼圧緑内障の割合を調査した.また,緑内障と診断された受診者に緑内障で通院中あるいは既往歴のある受診者を含め,有病率を年代別に調査した.
結果:76,245名中,緑内障が発見された受診者は272名(発見率0.4%)であった.うち,眼圧正常者は234名で86.0%が正常眼圧緑内障と診断された.次に,有病率を年代別に調査した結果,40歳以上で3.3%であった.
結論:緑内障の約7割は正常眼圧緑内障であるといわれているが,当施設の調査結果はそれを上回る結果となった.有病率は,40歳以上で5%といわれているのに比し3.3%と低かった.ただし疫学調査と比較して,人間ドックでは70歳以上の受診者が少なく,有病率が低い傾向が考慮される.以上から現状の検査では緑内障の発見が十分でないことが示唆される.現行の人間ドックの基本検査項目では,緑内障の発見は困難であり,今後視野検査の導入も検討する必要があると思われる.

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© 2014 公益社団法人 日本人間ドック学会
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