2014 年 29 巻 4 号 p. 585-591
目的:がん患者と健常者の血漿中アミノ酸濃度(PFAA)のバランスの違いを「アミノインデックス技術」を用いて統計解析し,がん罹患の確率を評価する新規がん検診法として,アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS)が開発され,複数のがん種に対するスクリーニング検査として実用化されている.本報では,各種がんに対する,AICSと従来の腫瘍マーカーの感度の比較データおよび併用効果について報告する.
方法:複数施設において,胃がん患者177例,肺がん患者311例,大腸がん患者257例,乳がん患者160例を対象として採血し,LC-MSにより測定した血漿中アミノ酸濃度に基づき,各がん種に対するAICS値を算出し,AICSと各種腫瘍マーカーの感度比較を行った.
結果:AICS(胃),AICS(肺),AICS(大腸),AICS(乳腺)のStageⅠまでの各種早期がんに対する感度は,40%,38%,32%,24%であり,いずれのがん種においても,AICSは従来の腫瘍マーカーと比較して有意に高い感度を示した.またAICSと各種腫瘍マーカーとの組合せによる感度の上昇がみられた.
結論:AICSは,血液検査による簡便で新しい早期がんのスクリーニング法として有用であることが示唆された.