人間ドック (Ningen Dock)
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原著
消化器検診と尿中ミオイノシトール測定による耐糖能検査の併用の検討
山縣 文夫八巻 悟郎高築 勝義河津 捷二
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2014 年 29 巻 4 号 p. 592-600

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抄録
目的:一日ドックにおける上部消化管内視鏡検査と,尿中ミオイノシトール(UMI)検査による耐糖能検査を同時並行で実施し,耐糖能異常者をスクリーニングできるかを検討した.
方法:予め同意を得て,今回の人間ドック受診以前に75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を実施し,WHO基準(1998年)に従い,耐糖能の型分類のなされたボランティア10例を対象とした.同時に負荷前とブドウ糖負荷2時間後に採尿し,UMIを測定した.今回の人間ドック受診時の検討では,早朝空腹時に必要な採血・採尿後,75gOGTTを行い,60分経過後に上部消化管内視鏡検査を実施した.また,事後の糖負荷2時間後にも採尿し,負荷前尿とともにUMI測定に供した.なお,UMI排泄の評価には,クレアチニン補正したUMI濃度の負荷前後差(ΔUMI=後値-前値)を使用した.
結果:ブドウ糖負荷後60分以上経過後に実施した上部消化管内視鏡検査の観察において,服用したトレーランGが影響を及ぼしたと考えられる病像はみられなかった.一方で,以前の75gOGTT時に実施したUMI検査結果と対比して,内視鏡検査を実施した場合のUMI検査結果には再現性がみられ,内視鏡検査がUMI検査結果に及ぼす影響は少ないものと思われた.
結論:UMI検査と内視鏡検査の組合せにより,一日ドックにおいても消化器検査と耐糖能スクリーニングの同時並行実施は可能であることが判明した.
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© 2014 公益社団法人 日本人間ドック学会
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