抄録
目的:ベッドに敷設して就寝することにより,睡眠中の無呼吸・低呼吸数を光ファイバシートへの側圧変化として計測する光ファイバ型睡眠時無呼吸センサ(F-SASセンサ)を用い,人間ドックにおける睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)のスクリーニングを実施した.
対象と方法:一泊人間ドック受診者42名(男35名,女7名,55.7±7.8歳)に,F-SASセンサ装着と同時に,従来SASのスクリーニングに用いられている終夜パルスオキシメータ(PLSX)により動脈血酸素飽和度を測定し,両者を比較検討した.また,全対象者にF-SASセンサ使用後の感想を求めるアンケートを実施した.
結果:F-SASセンサによるスクリーニングでは,36名で測定1時間あたりの無呼吸・低呼吸数(apnea hypopnea index:pro-AHI)が5回を超え,SASが疑われた.また,pro-AHIはPLSXによる3%動脈血酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index:ODI3%)と有意に相関していた(r=0.79,p<0.01).精密検査が必要と判定した24名には書面にて専門外来への受診を勧奨したところ,終夜睡眠ポリグラフィ(polysomnography:PSG)を受けた5名は全員が中等症~重症のSASと診断され,治療が開始された.F-SASセンサ使用感では不快感を訴えるものはなく,本機器の無侵襲,無拘束性が実証された.