2015 年 30 巻 1 号 p. 15-21
目的:マンモグラフィ(MMG)の局所的非対称性陰影(FAD)は,正常乳腺でもみられるので,そもそもの陽性反応的中率(PPV)は低く,偽陽性率が高いので,特に健診施設では精度管理上の課題ともなっている.本研究においては,検診MMGでのFADによる要精密検査(精査)例に対し,乳房超音波検査(US)を追加し併用判定すれば,FADのPPVがどの程度向上するかを明らかにして,追加併用判定が,FADによる過剰な要精査判定を抑制する手段として有効かについて検討することを目的とした.
方法:2013年1~12月に当センターの対策型,任意型MMG検診にてFADを指摘され要精査とされた204例のうち,精査を受診した171例を対象とし,診療録を調査しPPVを求めた.
結果:FAD部位に,USにて「病変あり」は73例(42.7%)であり,73例中13例はさらに生検が必要であった.乳がんは6例であり,FADのMMG単独でのPPVは3.5%であった.よって,USを追加し併用判定すればPPVを46.2%まで向上させることができる.
結論:MMGのFAD所見に対して,USを追加し併用判定すれば,FADに対するPPVは上昇し,偽陽性率を低下させることができ,FADによる過剰な要精査判定を抑制することができる.よって,偽陽性が心理的負担となる受診者には,その負担を軽減できるであろう.