抄録
人間ドック健診において脂肪肝は約30%の受診者にみられ,増加傾向にある.脂肪肝のなかから非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を診断するには病理組織検査が必要であるが,どのような症例に肝生検を勧めるべきなのかは一定の見解はなく,いくつかのスコアリングシステムなどを用いた検討がなされている.
NASHでは肝硬変や肝細胞癌への進展が危惧されるが,それだけではなく脂肪肝はインスリン抵抗性などと密接に関係し,動脈硬化性疾患などのリスクも増加する.
NASHの発症には過食などの要因のみならず,multiple parallel hits hypothesisという複雑な病態が絡み合い,さらにいくつかの遺伝子の関与も明らかになっている.また,その病態にはセレノプロテインPや腸内細菌が深く影響していることが判明している.
今までもNASHに対する抗酸化薬などが試されてきたが,インクレチン関連薬やファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストなどの新規薬剤に期待が寄せられている.