2018 年 33 巻 3 号 p. 478-485
目的:近年,非アルコール脂肪性肝疾患(Nonalcoholic Fatty Liver Disease:NAFLD)やアルコール性肝障害(Alcoholic Liver Disease:ALD)の増加に伴う肝硬変,肝細胞がんが問題になっている.そこで,腹部超音波検査で脂肪肝の評価を行い,生活習慣病関連項目との関係を検討した.
対象:2015年度に健康診断にて腹部超音波検査を受検した5,436名を対象にした.脂肪肝の有無を評価し,脂肪肝をNAFLDの飲酒量である少量,中等量,ALDの飲酒量である多量の3群に分類した.
結果:脂肪肝は男性の約46%,女性の約22%に認められた.BMIや腹囲,血圧,糖代謝,肝機能検査は,脂肪肝がない群と比較して3群とも有意に高値であった.また飲酒量による比較では,飲酒量が増えるにつれ,TGやHDL-C,肝酵素の上昇を認めた.生活習慣に関する検討では,性別や飲酒量に関わらず,脂肪肝では「20歳から10kg以上体重増加」が独立して影響し,男性ではNAFLDは「1回30分以上の運動を週2回以上,1年以上」のないこと,中等量やALDは「就寝前2時間以内の夕食が週に3回以上」が独立して影響していた.
結論:若年時から生活習慣に対しての介入,飲酒量も加味した保健指導が重要である.