人間ドック (Ningen Dock)
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原著
前立腺がんMRI検診の有用性評価
能城 毅稲生 信一山本 晃大鈴木 智史北村 英之
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2020 年 35 巻 1 号 p. 54-59

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抄録

目的:人間ドック男性受診者に対し,血中PSA値に加えoptionでの前立腺MRI検査を施行し,前立腺がんMRI検診の有用性につき検討した.

方法:2018年6月1日から2019年2月28日に人間ドック男性受診者のうち前立腺MRIを選択した22名を対象とし,年齢,PSA値,MRI結果,また,精査を要した症例に関しては精査結果も解析対象とした.MRIは1.5テスラの単純撮影で行い,T1強調像,T2強調像,拡散強調画像(b値1,000および2,000)とADC mapを基本とし,放射線科医による読影が行われた.直腸診は行っていない.

結果:人間ドック男性受診者206名のうち22名(10.7%)がoption前立腺MRIを選択した.MRI選択受診者平均年齢は67.0±11.8歳,平均PSAは1.14±1.02ng/mLであった.22名中12名が前立腺肥大と診断され,平均PSAは,1.10±0.90ng/mLであった.PSAが4.0ng/mL以上の受診者は認められなかったが,PSA 3.54ng/mLとカットオフ値4.0ng/mL未満にもかかわらず前立腺右葉に拡散強調画像にて異常高信号を認め,精密検査の結果,中間リスク群前立腺がんであった70歳代受診者が1名存在した.

結論:PSAに加え前立腺MRIを併用することによりPSAカットオフ値未満の臨床的に治療意義のある前立腺がんの検出力が向上する可能性がある.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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