人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
症例報告
人間ドックにおける尿中マルベリー細胞の検出を契機に遅発型Fabry病の確定診断に至った一症例
宮脇 昌美平野 杏梅田 美幸古林 愛子松本 由美高倉 玲奈藤本 敬西 律子森島 淳之山本 一帆牧野 和香奈平岡 久豊
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 35 巻 2 号 p. 210-216

詳細
抄録

 今回我々は,人間ドックにおいて尿中マルベリー細胞を検出したことから遅発型Fabry病の確定診断に至った症例を経験した.症例は50代男性.40代後半より高血圧加療中であった.人間ドックの心電図で左室肥大型波形を認め,心エコー検査などの結果から,無症候性の肥大型心筋症が疑われ経過観察されていた.翌年人間ドック時の尿沈渣でマルベリー細胞を認め,Fabry病が疑われたため循環器内科に再受診となった.精査の結果白血球中α-Gal A活性の低下があり,遺伝子検査で心亜型として知られるp.N215Sミスセンス変異を認め,遅発型Fabry病と診断された.

 遅発型Fabry病は進行性に左室肥大をきたす疾患である.その予後は難治性心不全や致死性不整脈に規定されるといわれているが,酵素補充療法による治療法が存在することから早期の確定診断がきわめて重要となる.人間ドックでの左室肥大型の心電図異常を呈する症例のなかには遅発型Fabry病が潜在する可能性があり,そのような症例に対し尿中マルベリー小体/細胞の検出および同定を念頭においた尿検査を行うことは診断の一助になり得ると考えられた.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top