人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドックにおけるロコモ健診の意義について
手嶋 義高宮本 祐一川口 達大山川 公子大坪 義彦小栁 徳明山田 安代重光 貴弘石田 千尋中島 則行
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2021 年 36 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

目的:近年,我が国では高齢化が進み,ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)への対策が重要視され始めてきた.当健康管理センターは健康診断のオプションとしてロコモ健診を開始した.ロコモ健診では健康運動指導士がロコモ度テスト,結果説明,運動指導を行った.健康診断受診者は比較的健常な集団で超高齢者は少ない.そのような母集団におけるロコモ健診の意義についてはまだ十分には解明されていない.一方でメタボリックシンドローム(以下メタボ)対策は重要な課題であり,行動変容の契機としてロコモ度テストの有用性が期待される.本研究は,人間ドックにおけるロコモ健診の意義を明らかにするものである.

方法:65歳以上のロコモ健診を受けた941名を対象とし,ロコモ判定を目的変数とした重回帰分析を行い,ロコモ判定とのF検定およびχ2検定を行った.さらに2年連続ロコモ健診を受診したリピーターのロコモ判定や各ロコモ度テストの変化を検討した.

結果:65歳以上の健康診断受診者は,6割以上がロコモ状態で,その原因として性別,年齢,腹囲が影響を及ぼす.また年齢,body-mass index(以下BMI),腹囲が増加するにつれてロコモ状態になりやすく,ロコモとメタボ,BMI25(kg/m2)以上,腹囲超過とにそれぞれ関連があり,リピーターはロコモ判定が改善した.

結論:当健康管理センターの人間ドック受診者ではロコモ度テストと運動指導によるロコモ健診は行動変容に有用であることが示唆された.

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© 2021 公益社団法人 日本人間ドック学会
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