高血圧治療ガイドラインに準拠した高血圧治療

抄録

　高血圧は最も罹患者数の多い生活習慣病であり，脳血管疾患や虚血性心疾患，慢性心不全などの重大なリスク因子である．また，高齢者では老年症候群の発症・進展にも影響することが明らかにされている．高血圧治療の目的は，脳心血管病の発症・進展・再発の抑制とともに，それらによる死亡を減少させること，また，高血圧者がより健康で高いQOLを保った日常生活ができるように支援することであり，健康日本21（第二次）で掲げられている健康寿命の延伸の達成には，血圧を良好にコントロールすることはきわめて重要である．高血圧は日常の話題になるほどに非常に身近な病気であり，治療方法も確立している．にもかかわらず，未治療や治療目標未達成の者が多く存在する．医師のみならず広く医療・介護・福祉関係従事者は現在の高血圧管理指針となっている高血圧治療ガイドライン2019（JSH2019）の内容を理解し，その方針に準拠した管理を行うことが重要である．