人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドック健診の経年記録で検出された非弁膜症性心房細動発症例の洞調律時のリスク要因と意義
中居 賢司神谷 亮一村上 晶彦石田 由貴三田 修田代 敦芳沢 礼佑大和田 真玄森野 禎浩狩野 敦
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2023 年 37 巻 5 号 p. 800-807

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抄録

目的:人間ドック健診の経年記録で検出された非弁膜症性心房細動(non-valvular atrial fibrillation: NVAF)発症例の洞調律時のリスク要因と予防的意義について検証した.

方法:人間ドック受診者3,186例(2020年4月~2021年3月,男性2,212例,女性974例)の標準12誘導心電図(ECG)でNVAFが記録された90例中,過去の時系列記録より洞調律が確認された30例(男性29例,女性1例)〈NVAF発症前洞調律群〉である.対照群は,同一期間内に人間ドック健診を実施し,年齢,性別を調整した連続する洞調律群(sinus rhythm groups: SR)172例(男性169例,女性3例)である.

結果:NVAF発症前洞調律30例で統計学的に有意であった健診項目は,Body mass index(BMI),血圧,心胸郭比(cardiothoracic ratio: CTR),胸部レントゲン写真シルエットサイン,心電図左房負荷(negative P in precordial V1: Neg PV1)であった.ロジスティック回帰分析で有意であった項目は,BMI(≧29),CTR(≧50%),シルエットサイン,Neg PV1であった.新たに考案したNVAF予測スコアは,NVAF発症前洞調律群ではコントロールに比べて高値であった(8.1±1.7 vs 3.8±1.7, p<0.0001).NVAF予測スコアによるカットオフ値は6(曲線下面積 AUC 0.961),感度/特異度(0.86,0.967)であった.

結論:肥満,心拡大,左房負荷,シルエットサインなどがNVAF発症の有用なリスク要因であり,NVAF発症予防への啓発が期待される.

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© 2023 公益社団法人 日本人間ドック学会
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