抄録
住民健診にPSA値測定を導入し,3年間(1998.4~2001.3)に2,258名(新規のみ)分のデータを解析した。197名(8.7%)に異常を認め,うち32名(異常者の16.2%)に前立腺癌を認めた。癌の発見は65歳以上に偏在していた。PSA値の高さと前立腺癌の発見頻度とは,必ずしも一致せず,ストック血清を用いた解析によれば,PSA値の急激な上昇こそが前立腺癌発見の指標となることを示していた。
これらの結果より,前立腺癌の発見には,経年でのPSA値の動きを知ることが大切であり,とくに,65歳以上ではPSA値を毎年測定すべきであると考えられた。