健康医学
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腹部生体インピーダンス法を用いた内臓脂肪測定器の開発―測定原理の検証―
片嶋 充弘恩田 智彦山口 亨梁 美和前田 和久奥宮 暁子西田 誠中村 正松澤 佑次
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2004 年 19 巻 3 号 p. 391-396

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抄録

目的:内臓脂肪の過剰蓄積は糖尿病,高脂血症,高血圧を始めとする生活習慣病の主要な成因基盤と考えられ,人間ドック健診において内臓脂肪量を簡便に評価できれば,これらの疾病の早期予防につながると期待される。このため我々は生体インピーダンス法を腹部に応用し,腹部CT(computed tomography)検査に代わる新たな内臓脂肪測定方法(腹部生体インピーダンス法)を開発している。本論文では,臨床データに基づいて本法の測定原理と内臓脂肪量の推定精度を検証することを目的とした。方法:本法により測定した腹部インピーダンスと腹部CT検査で得られた内臓脂肪面積(visceral fat area:VFA),皮下脂肪面積(subcutaneous fat area:SFA),総脂肪面積との相関,ならびに残差(腹部CT検査によるVFAと本法で推定したVFAとの差)とVFA,SFA,比VFA/SFA,身長,体重,BMI(body mass index),ウエスト周囲径,年齢との相関を多変量解析によって分析した。結果:本法で求めた腹部インピーダンスは皮下脂肪面積との相関が低く,本法が皮下脂肪の影響を極力排除した内臓脂肪面積推定方法であることが示唆された。また,残差と年齢の間に相関が残存していたが,VFAの推定式に年齢を取り入れることによってその相関をキャンセルし,推定精度を向上できる可能性を見出した。結論:内臓脂肪蓄積量を高精度で推定できる本測定器は,肥満の新たな検査機器として今後,人間ドックでの健診を強力にサポートしうるものと期待される。

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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