抄録
目的:生活習慣は生涯を通じて健康に大きな影響がある。中でも喫煙は血管障害などを来すといわれ,血管に対する喫煙の影響をみることは重要である。そこで,禁煙教育の充実と健康増進を図るために,若年喫煙者において指尖容積脈波によって動脈弾性を評価し,その有用性を検討した。方法:同志社大学が実施した健康診断で異常が認められず,インフォームド・コンセントの得られた18歳から26歳までの男女学生95名(男性喫煙者27名,男性非喫煙者48名,女性喫煙者2名,女性非喫煙者18名)を対象に,加速度脈波計Artett(株式会社ユメディカ)を用いて指尖容積脈波と共に,その二次微分波,即ち加速度脈波(acceleration plethysmogram:APG)を得た。その上で加速度脈波を構成する五つの要素波の内三つから得られる波形評価のパラメータと喫煙との関連を見た。結果:喫煙者と非喫煙者との加速度脈波の間に有意差は無かった。対象が若年であったことなどにより,喫煙の影響を見いだせなかったと推定している。しかし,指尖容積脈波から得られる加速度脈波は,元の脈波に比して波形が安定しているなど波形の定量的な解析に好都合であった。結論:加速度脈波解析は,喫煙の影響をみるという今回の試みには成功しなかったものの,動脈硬化度を評価する方法として有用であるとの印象を持った。