2006 年 21 巻 4 号 p. 860-865
飲酒,喫煙と血圧/血清脂質/血糖異常率および肥満率との関係について検討した.方法:対象は職域健診を受けた10,543名の男性.喫煙,飲酒,常用薬剤の情報は自記式アンケート調査で得た.結果:高血圧(収縮期130mmHg以上かつ/または拡張期85mmHg以上),高トリグリセリド(TG)血症(150mg/dl以上),低HDLコレステロール(HDL-C)血症(40mg/dl未満),空腹時高血糖(110mg/dl以上),肥満(body mass index:BMI25以上)の率は,それぞれ40.0%,23.8%,6.5%,10.8%,27.2%であった.多変量ロジスティック解析により交絡因子を調整して喫煙の影響を検討したところ,喫煙者は非喫煙者と比較し高TG血症率,低HDL-C血症率,肥満率が高率で,高血圧率が低率であった.非喫煙者と過去喫煙者との間には肥満率以外は差が認められなかった.一方,飲酒者は非飲酒者と比較し高血圧率,高TG血症率,高血糖率が高率で,低HDL-C血症率が低率であった.肥満率は飲酒の影響を受けなかった.最も強く喫煙および飲酒の影響を受けたのはHDL-Cであった.結論:飲酒,喫煙と動脈硬化の危険因子頻度との間には強い関連が認められた。動脈硬化予防のために禁煙,節酒が重要であると考えられた.