人間ドック (Ningen Dock)
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血漿総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義
―人間ドックにおける有用性―
鏑木 淳一
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2007 年 22 巻 3 号 p. 378-382

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抄録

目的:日本人における血漿総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義,人間ドックにおける有用性を明らかにした.方法:メタボリックシンドロームが疑われた80例(男女比=52:28,平均年齢=66.4±8.5歳)を対象とした.頭部磁気共鳴画像法(MRI)検査を施行し,多発性ラクナ梗塞あるいは無症候性脳梗塞を,動脈硬化性病変とした.血漿総ホモシステイン濃度は,酵素法により測定した.結果:血漿総ホモシステイン濃度の平均値±標準偏差埴は,11.9±2.9μmol/Lであり,14.0μmol/L以上の高値は,80例中14例(18%)に認められた.血漿総ホモシステイン濃度高値例と基準範囲内にあった症例の間で,男女比,平均年齢,糖尿病,高血圧症,LDL-コレステロール高値,HDL-コレステロール低値,中性脂肪高値の頻度に,有意の差はなかった.動脈硬化性病変は,血漿総ホモシステイン濃度高値例で93%に認められた.これは,血漿総ホモシステイン濃度が基準範囲内の症例における39%に比べ,有意に(p<0.005)高率であった.血清lipoprotein(a)(Lp(a))濃度も,かかる動脈硬化性病変に関連した.動脈硬化性病変に対するpredictive valueは,血漿総ホモシステイン濃度において0.33であり,血清Lp(a)濃度の0.38と同様であった.結論:血漿総ホモシステイン濃度高値は,日本人においても,頭部MRI検査における動脈硬化性病変に関連し,動脈硬化性疾患に対する新しいマーカーとして,人間ドックにおいても有用であることが考えられた.

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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