人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
特定保健指導導入に向けての階層化と保健指導の課題 ―経年受診者の健診結果と腹囲測定結果の分析―
高岡 和夫岩田 佳代杉野 仁美神谷 夕香里和田 直子富永 一美江原 亮子秦 温信
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 1 号 p. 77-83

詳細
抄録
目的:平成20年度からメタボリック・シンドロームの予防に重点を置く特定健診の導入で,健診後の保健指導強化が求められることになった.札幌社会保険総合病院健診センターでは平成18年6月より腹囲測定を導入した.厚生労働省の階層化指針に基づき,指標となる腹囲測定結果と検査値を分析し,平成20年度より始まる特定健診・保健指導の実施に向けて,保健指導のあり方を検討した.方法:当健診センターは,受診者の8割が政府管掌健診を利用し688%が経年受診者である.平成17年より経年で受診した健診者9,729人のうち,平成18年6月より腹囲測定をした受診者は6,273人だった.平成17年度より経年で受診している6,037人を対象として,情報提供群(肥満なし群と肥満あり群)と特定保健指導対象群(動機づけ支援群と積極的支援群)とに階層化を行い比較検討した.成績:特定保健指導対象群(動機付け支援群及び積極的支援群)は2,410人(39.9%)であり,男女別には,男性50.5%,女性20.0%と男性では特定保健指導対象群の比率が高かった.この健診受診者の解析の結果,情報提供群のうち肥満なし群の60%の受診者に空腹時血糖値の上昇が見られた.また,情報提供群のうち肥満なし群に血圧の上昇,血中脂質の異常が見られた.結論:内臓脂肪蓄積型肥満者である特定保健指導対象群以外にも生活習慣改善指導の必要な受診者が存在することが示唆された。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事
feedback
Top