抄録
数多く行われるようになったインターネット調査の問題点の1つとして、調査回答における労力を最小限化しようとよく考えずに回答する「サティスファイサー」(satisficer、省力回答者)の存在が指摘されている。本稿では、こうしたサティスファイサーについて、NIRA総合研究開発機構が行ったインターネット調査データの分析を通じて考察した。調査会社によるモニターの管理がなされていても、サティスファイサーは存在すること、サティスファイサーには本来想定される質問項目間の相関が見られないこと、サティスファイサーを分析対象に含めるか否かによって、分析モデルにおいて有意な関連を持つ変数が異なるなど分析結果を歪める恐れがあることが明らかになった。