西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
いわゆるHydroa Vacciniformeの1例
野中 薫雄
著者情報
ジャーナル 認証あり

1974 年 36 巻 4 号 p. 515-523

詳細
抄録
患者は11才女児で家族歴, 既往歴に特記することはない。5才ころより露出部に小水疱形成がはじまり, 痂皮, 瘢痕を残して治癒するようになつた。両側角膜混濁をともなうが視力障害はない。軽度の肝腫大あり, GOT, GPT, γ-GLの軽度上昇をみ, 肝生検にて慢性肝炎(活動型)の診断をえた。皮膚所見では顔面, 手背, 前腕に小水疱, 痂皮局面を作り, 小瘢痕が混在している。皮膚病理組織学的には手背小水疱治癒時の標本で真皮乳頭下層の浮腫および小円形細胞の浸潤でPAS陽性物質の沈着は認めなかつた。ポルフィリン検索では血中, 尿中, 糞便中いずれも正常範囲内であつた。本例はいわゆるhydroa vacciniformeの臨床を呈し, ポルフィリン代謝異常を示さず, 角膜混濁, 慢性肝炎をともなつており, この点について若干の文献的考察をおこなつた。
著者関連情報
© 1974 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top